躯幹部MRIドック(PET Like Imaging)

主に拡散強調像という撮像法を用い躯幹部(頚部・胸部・腹部・骨盤部)の腫瘍などを検査します。この方法で得られる画像は、悪性腫瘍の検出または転移などの拡がり診断で行われる代表的な検査法、PET(Positron Emission Tomography)検査とよく似ています。腫瘍の代謝情報を画像化するPET、腫瘍の拡散運動(細胞密度の違いによるプロトンの動き)を画像化する拡散強調像とその検出方法は異なります。しかし、得られる情報において相関関係があることが最近の研究で分かり今後はそれぞれの利点をいかし、より確実な検査になっていくと考えられています。

PET検査と比較した場合の、DWIBSの長所

• 侵襲性が低い(放射線被曝がない)
• 検査に際する拘束時間が短い
• 画像の分解能が高い
• 費用効果に優れる
• 他の画像を得る事で質的診断も可能となる
• PET陰性癌への適応

侵襲性が低い

放射性薬品であるRI(Radio Isotope)を静脈注射し体内から放出される放射能を画像化するPET検査に比べ放射線被曝を回避することができます。

画像の分解能が高い・病変の質的診断も可能

PET検査と比べると画像の分解能はおよそ2倍あり病変の解剖学的位置関係がより明瞭であり、また他の画像を得る事で病変の質的診断も可能となります。但し、より高い診断能が求められるケースにおいては改めて造影検査、CT検査などの精密な検査が必要になる場合があります。

検査に要する時間

入室から退出までおよそ50分ほど時間がかかります。(PET検査では前処置を要するなど検査に要する拘束時間はおよそ2時間ほどかかります)

費用効果に優れる

健診における全身のスクリーニング検査(保険適応外)でかかる費用はPET検査でおよそ10万円ほどですがMRIでは約4万円となり費用対効果としては高いと考えられます。

PET陰性癌への適応

PET陰性癌(PET検査で見つからない癌)の割合は3割超であるとも言われています。その主な理由としてRIは静脈注射後、尿中に排泄されますので腎臓・膀胱・前立腺部などに存在する癌の発見は不得手となる点と画像の分解能上10mm以下の腫瘍の発見が難しい点などがあげられます。

欠点としてあげられるもの

• MRI禁忌(心臓ペースメーカー装着者など)の方は検査適応外となる
• 悪性腫瘍に対する特異度が低い
• 金属や空気の影響により画像が劣化する
• 撮影範囲がPET検査ほど広範囲でないなどがあげられます

このドックを受ける場合は
【腹部超音波検査】【消化管検査】【胸部CT検査】
上記を同時に受けた方を対象とします。